(PoleMasterが使えない…)
南天での極軸合わせは大変とよく聞きます。極軸望遠鏡では、はちぶんぎ座のσ星(σOct)を使って合わせる仕様のものが多いです。私のEM200もそうなっていますが、視野が狭くて見つけるのが大変そうです。

それで当初、PoleMasterを使うことを考えていましたが、今回の遠征のため従来の重いノートPC をFujistuの軽量PCに買い換えたところ、どうもPoleMasterと相性が悪かったようで、PoleMasterからの映像が止まる、他のUSB接続機器(赤道儀など)の接続に干渉して切ってしまう、あげくにはPC自体がフリーズしてしまう、といった症状が出るのですが、結局原因はわからずじまい。単なるUSBカメラなのになぜ?と思いましたが、治らなかったので、PoleMasterの使用はあきらめることにしました。

結局、極軸望遠鏡を使うことにしましたが、それだけだとちょっと心配なので、少し対策を考えてみることにしました。

一番の問題は、σOctが5等星と暗くて、また周りに似たような明るさの星が多くて判別がしにくいということのようです。

σOctを特定するには、通常、σOctを含む5~6等星で構成される台形状の星の並びを目印にするのですが、要はこの星の並びが見えたらいいので、ε130Dのファインダーを利用できないか考えてみました。

このファインダーは口径3cmで視野も8度ありますので、5~6等星くらいの星なら余裕で見えますし、目印の台形状の星の並びも全体が視野に入ります。これは元々持っていく予定の物だったので、重量は増えませんし、何か新しく買い足す必要もありません。

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そのためにはまず、ファインダーと極望の光軸を合わせる必要があります。このように極軸望遠鏡が見通せる状態にして、ファインダーを極軸方向に取り付けます(鏡筒が天の赤道を向くので、鏡筒とファインダーが直角になっています)。

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次に、極軸望遠鏡の中心(十字線が描いてある)に、目立つ星など目標物を導入します。

そして、ファインダーの十字線の交点を同じ目標物に合わせます。これでファインダーの十字線の交点が、極望の中心方向を指すようになります。

もっと確認したければ、赤経軸のクランプを緩めて回転させたとき、目標物が十字線の交点を動かないことで確認できます。

この状態で、ファインダーでσOctを探すわけです。最初に導入する目標物としてはみずへび座β星か、それが低空すぎて見えなければ、5月の夕刻にちょうど南中する位置にあるりゅうこつ座β星が使えます。

実際、この方法で迷うことなくσOctを極望に導入することができました。

(緯度が低いことで起きる問題)
もう1つ考えておかないといけないことがありました。

EM200は極軸を合わせる時、付属の水準器で赤経軸の水平を取るのですが、通常の使い方だと、ウエイト軸は下方向に向いてます。
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これは赤経軸をチラゴーと同じ17度の角度にしたところですが、ウエイト軸と三脚がかなり接近しています。

これだとバランスウエイトが三脚に当たってしまいます。また軸がかなり急角度になるので、バランス用のManfrottoの袋がずり落ちる心配もあります。

そこで、ウエイト軸を水平にした状態で、極軸合わせが出来るよう準備することにしました。

やりかたはこうです。

まず通常の状態で、水準器で赤経軸の水平を取ります。経度の設定は(チラゴーは東経144.5度)、南半球なので、135-(135-144.5)=125.5度に設定します。
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次に、赤経軸のメモリ環を適当に切りのいいところに合わせます(写真では0時)
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そして、メモリ環を見ながら、赤経軸を90度回します(写真では18時になります)。これで赤緯軸が水平になりました。
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最後に、赤経軸をそのままに、水準器の付いている環を回して、水準器を水平に合わせます。ずれても元に戻せるようその位置にマーキングをしておきます。
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これで準備ができました。気を付けないといけないのは、90度回転させていることと南半球で使うので、極軸望遠鏡のスケールも90度回転していて、かつ左右反転しています。そのことを留意して、スケールの時刻と日付を設定する必要があります
(例:5月3日→9月1日、18時(日本時間)→0時)。

⑥「さあ、出発」編へつづく